震災の復興と共に歩んできた当館の軌跡
ここは岩手県の南。
雄大な自然に囲まれ、海と共に生きる町、大船渡。
大船渡の美しい海で育った海の幸を目当てに
例年全国から多くの人々が訪れます。
今から10年と少し前、
そんな活気あふれる町を襲った東日本大震災。
凍てつく寒さの中、目の前に広がる瓦礫の山。
あの日、私たちは
たくさんのものを失ってしまいました。
そんな中、たった一つだけ流されなかったもの。
それは未来を諦めない、人々の想いでした。
見る影を無くした愛する故郷を再興させようと
汗を流す人々、
そして仮説住宅で寒さに耐えながら懸命に生きる人々、
そんな姿を見てひとりの漁師が立ち上がりました。
お腹いっぱい食べてほしい、
温かいお風呂に足を伸ばして入ってほしい。
そしてまた、あの頃のように
笑顔と活気あふれる
大船渡になってほしい。
そんな故郷を想う
湯を沸かすような熱い気持ちから
大船渡温泉は生まれました。
食べることとは生きること。
震災から12年経った今もその想いは変わらず、
温かいごはんと温かい寝床は
冷えた心を少しずつあっためてくれると信じて
漁師は朝から市場に出向き、
作業着に袖を通し、包丁を握ります。
大船渡を訪れた人が、
明日を元気に生きていくことを願いながら。